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のんちゃん 便り

第160号  2013年2月

本年もどうぞよろしく

お願いします

新しい一歩

2010年は4号だけ、2011年は3号だけの発行で終わり、さて、今年は何号発行できますか…。3号以上は発行したいと思います。すっかりマバラ発行になってきました。書いても伝わらないコトがあるから、変わらないモノがあるから。根気よく続けていけば、きっと少しずつ何かが変わっていくのだろうと思います。「支援者」ならオワリにしたりリタイヤしたりできるかもしれませんが、当事者や私達は「やーめた!」と降りるわけにはいかないことも承知しています。頭では解っているのですが、「のんちゃん便り」で想いを発信をする力が湧いてこないのです。

生きていく力が湧いてこないのではないので、心配しないでくださいね。望も相変わらずパワフルです。今年の秋、二十歳を迎えます。成人です。成人になっても、親であり子であることに変わりはないのですが、「二十歳の子どもの通信を親の私が書くのは、もう変だよね~」と思うのです。そろそろ、「のんちゃん便り」のカタチを変えてもいいかなと思っています。創刊が、望2歳の1996年2月。最近は休みがちではありますが、何をしても三日坊主の私が、17年もよく続いたと思います。

望も私も巣立ちの時期を迎えたと感じます。生まれてからずっと、望はよく頑張ってきました。私もワタシなりに頑張ってきたと思います。まずはここで一区切りして、それぞれに新しい一歩を踏み出す時だと思います。望も私も、自分らしく生きるための道を歩み出そうと思います。

望の二十歳の誕生日を目標に()母の書く「のんちゃん便り」を終了したいと思います。楽しみに読んでくださっている読者のみなさま、ごめんなさい。そして、ありがとうございます。心から感謝しています。望の誕生月の10月まで、よろしくお付き合いください。

「空とぶくじら」№37巻頭言より

望の「新しい一歩」については、昨年から考えていました。医療的ケア連絡協議会編集のニュース「空とぶくじら」№37(20127月発行)の巻頭言の文章を以下にご紹介します。

ワタシらしく生きるのダ!

 会議で、『はい!』と元気よく右腕をあげたら、「はい。じゃ、のんちゃん、空とぶくじらの巻頭言、よろしく!」と言われました。…? ちょっとだけ自己紹介します。

高校4年生の女子です。定時制です(留年ちゃうよ、念のため)。生徒会役員しています。普段は、福祉作業所や自立生活センターに行ったり、大学の授業にモグリこんだり、劇団態変の稽古に行ったり、会議に出たりして、夕方から高校に行きます。時々、小中学校からの友達と遊んだりもします。一昨年はジュネーブの国連に、昨年は態変公演で韓国に、お母さんを連れて行ってあげました。外出が大好きです。電動車イスでバスや電車に乗りまくっています。苦手なのは人間以外の生物です。2時間おきに導尿してもらいます。「重度障害者」と言われてるみたいだけど、オ・テ・ン・バ・サンと読むのかな?「我儘」とも言われるけど、イシ・ツヨシって読むのかな? 嫌なことはイヤだし、したいことはしたい!

 あと一年で卒業です。卒業したら、ひとり暮らしを始めたいです。涼さんや彩さんの家に泊まりに行って決めました。でも、ヘルパーは足りません。幼馴染の友だちが泊まってくれても足りません。泊まりに来てくれる人、募集します! 彼氏も募集中です。イケメンに限ります。進路は大学進学に決めました。ワタシに巻き込まれてくれそうな学生がたくさんいる大学、教えてください。行きます! ! ホントに忙しくなりそうです。

 お母さんに、「気力で生きている」「前しか見ていない」と言われて、一年前から、振り返りのために写真を撮り始めました。見ると、いろんなトコに行っていろんなコトしています。でも、私はあまり関心ないです。『前向きに生きないと』なんて全然思ってないけれど、いろんなモノをかいくぐって生まれてきたんだもの、ワタシらしく、振り返ることなく、好奇心いっぱいに、ツンノメリそうなくらい前向いて生きていきます。
向井望

望が文章を書けるわけではありませんが、望なら、きっとこんなふうに言うだろうと、想像して書きました。でも、望をよくご存じの皆さん、「同感!」と、思われませんか?涼さんや彩さんは、人工呼吸器を使いながら自立生活をしている先輩たちです。とっても素敵な先輩たちです。

言語で想いを伝えられない望ですから、今までやってきたように、これからも試行錯誤をしていきます。一人暮らしをやってみて、違うかなと思ったら、シェアハウスやグループホーム、いろいろ試してみればよいと、いえ、試してみなければ始まらないと思っています。考えているだけでは始まりません。

 この巻頭言を読んだ「空とぶくじら」の読者の方から、とっても嬉しいお葉書をいただきました。少し抜粋してご紹介します。

こんにちは。はじめまして。僕も僕らしく前向きに生きたくて日々楽しくもがいています。向井さんの文章を読んですごく元気をもらったというか、“仲間だー!”と勝手にうれしくなって便りをした次第です。“好奇心いっぱい”“ツンノメリそうなくらい”がすてきすぎます!!大学ですが、A大学はどうですか?楽しい人達を紹介しますよ。でも、向井さんならどこの大学へ行っても周りを巻きこんでいきそうだナ…と想像します。()

 こちらこそ、元気をいただきました。あちこちの大学を回ってくじけそうになっていた時期でしたが、力が湧いてきて、AO受験にチャレンジしましたし、落第しても次の方法を探そうと頑張ることができました。

進路については、また次号でご報告します。

ひとこと

望は季節の行事をよく覚えていて、お正月は、お祝の箸や漆器の器を出すようにと言い、節分には、豆まきする、恵方巻き食べる(恵方を向いて巻き寿司を食べるという関西の風習?)と訴えます。これも生きる力ですよね。

さて、2月14日から17日まで、劇団「態変」の公演「ミズスマシ」が、伊丹のアイホールであります。どんな公演になるか、そして、子どもから少女へ大人へと成長してきた望がどんな演技をするか、楽しみです。ぜひ、公演を観に来てください!

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