のんちゃん 便り
第149号 2010年4月
一年間を振り返って(生活編)
昨年の春、高校に入学し生活が大きく変わりました。一年を振り返っての生活編、書くことはとてもたくさんあるのに、発行が大変遅くなってしまいました。バタバタと新年度に突入、変わらずの高校待機、私が体調を崩して日々の暮しがやっとの状態、気がつけば4月の終わりでした。連休のうちに自分の様々な作業をしたいと思っています。
中学までは、朝7時に起きて、8時に登校し、昼間は学校でパワフルに過ごし、夜の8時や9時には就寝をしていた望ですが、高校の授業は17時半から21時前までありますから、生活リズムは大きく変わりました。そして、昼間に自由な時間がたっぷりできましたから、学校中心の生活から、変化に富んだ毎日となりました。入学当初は、高校の時間に身体を慣らしていくことを優先しました。平均心拍数120の望ですから、朝から夜遅くまでパワーを持続させていく体力はありません。気力だけは充分にあるのですが、逆に、この気力に引っ張られて、無理をして体調を崩すのではないかと心配をしました。
高校入学後、就寝時刻が遅くなった分、朝寝坊をさせるようにしました。でも、夕方の登校まで自宅にこもっている子ではありませんから、ヘルパー利用時間を増やす手続きと、昼間の過ごし方を考えました。15才の望には、入浴介助程度の身体介護と1ヶ月わずか24時間の移動支援しか支給されません(わが市では)。一般的には日中活動の生活介護の施設利用を薦められるのかもしれませんが、私は望を預かってもらうところを探すつもりはありませんでした。いろんな人やモノに出会って、体験を広げ、自立につながっていくような過ごし方をさせたいと思いました。そこで、自立支援法の重度訪問介護というサービスを申請しました。基本的に18歳以上を対象としたサービスですが、例外として15歳から申請できます。夜間高校で、昼間は母親しか介助者がおらず、その上、高校に付き添わなければならない現状、主介護者である私の体調が思わしくないこと(歳とともに腰痛やめまいが…)、朝から1日生活介護施設を利用するには体力的に難しく、昼前から高校登校前までヘルパーと過ごすことを希望など、申請書に様々な理由や希望を書いて、診断書の提出や審査や何やかやと複雑な手続きを経て、6月にようやく認められました。その間は、私の介助とヘルパー利用を自費でして過ごし、経済的にも体力的にも大変でした。どうにか昼間の介助者が確保できました。
さて、昼間の過ごし方ですが、いろんな方々から声をかけていただき、日替わりで行先ができました。本当に望は多くのつながりの中で暮らしていると実感しました。朝8時半から9時頃に起床し、たいていの日は、10時半頃にヘルパーさんが来て、出かける準備をして、昼前から電車やバスを使って出かけていきます。そして、夕方4時半頃に登校をして、高校の食堂で弁当を食べ、5時半に授業に入るという日々です。中学までは朝から学校なので予定を把握することは簡単でしたが、高校になってその日のスケジュールを正確に伝えることが必要になりました。そこで、今まで使用していたポケットカレンダー(1日毎のビニルポケットに絵カードが入れられるカレンダー)に加え、毎朝、ホワイトボードに今日の予定を記入するようにしました。平日はスケジュールが決まっていることが多いので、本人の選択の余地は少ないのですが(行くか行かないか程度の選択)、休日は、介助者とパンフレットや絵カードを見ながら、どこに行くかを相談してスケジュールを決めて遊びに出かけていました。
月曜日は、昨年の春から晩秋は、ヘルパーさんは毎週ではなく、母と月1回の泌尿器科への通院、月1回の療育施設への訓練通院、後は自由外出でした。冬からは劇団態変の金満里身体芸術研究所にヘルパーさんと月2、3回通い、月1回は療育施設に訓練通院という生活です。訓練は、側弯の進行を防ぐために理学療法を受けています。月1回で効果があるかどうか、疑問ではありますが。
火曜日は、最初はのんびりしていましたが、夏から自立生活センターのピアサマースクールに通い、サマースクール終了後、9月から毎週、そのセンターへ職場体験に通いました。お昼前にヘルパーさんと自宅を出発し、職場でお弁当を食べ、午後2時間余り、パソコンを使って文章を入力したり、体験宿泊施設の備品点検や買出し、点字の体験学習、自立生活をしている方のお宅訪問をしたりして、職場体験とあわせて自立に向けてのいろいろな体験をさせていただきました。12月で終了し、今年1月から4月は、午前中は自宅で勉強(?)をして、お昼ご飯後、言語療法に通いました。言語療法は4月で終わってしまいました。さあ、この5月からは何をしましょう。
水曜日と木曜日は、昼前からお弁当を持って区内の作業所(就労移行支援の場所)にヘルパーさんと通っています。知的障害の方達と一緒に内職的な作業をしています。身体障害の重い望が、何ができるの?楽しいの?と思われるかもしれませんが、楽しく時間を過ごせば良いというものではなく、学校でも遊びでもない「仕事」を知ること、いろんな人と関わることが大切だと思いました。何でも楽しんでしまう望は、フレンドリーなメンバーさん達と面白いやり取りをしながら、ラベル張りや袋詰め作業など、介助者と一緒に一生懸命に作業をしています。
金曜日は、月2回、隣の区の自立生活センターの中の作業所(今年、日中活動生活介護に移行)に行っています。ヘルパーさんと昼前に行き、メンバーさんと一緒にお弁当を食べて、午後は、お菓子作りや音楽、映画鑑賞などいろいろなことをして楽しんでいます。残りの月2回は、市立大学に行き、毎週金曜日の午後に開かれているゼミに参加して、学生さんや障害当事者、関係者の方々と勉強(?)話し合い(?)をして過ごしています。
休日は、ヘルパーやボランティアと買物やカラオケ、ショッピングセンターでの無料ミニライブを観に行ったりしています。時には私鉄で遠方まで散策に行ったり、展覧会に行ったりもします。友達と映画やボーリングやプリクラに行ったり、自宅でたこ焼パーティーをしたり、夏には天神祭の花火に行ったり、友達の高校の吹奏楽コンサートを鑑賞に行ったりと、中学までの友達との関係も続いています。
この一年の間に、ミュージカルやコンサート、親から離れての宿泊(自立生活をしている方の自宅や、先天性四肢障害児父母の会の総会やスキーキャンプ)も体験しました。この春からは、大学院の研究室の方々と社会参加の道具作りのチャレンジを始めました。いろんな出会いが楽しくて、好奇心いっぱいに毎日イキイキしています。