見出しへ戻る

のんちゃん 便り

第49号 2000年 2月     文:向井 裕子

車椅子

就学を控えて、望に車椅子を準備しました。赤のフレームに黒のシートのおしゃれなドイツ製の車椅子です。小学校に行って、元気なお友達が「私も乗りたいなあ」と思ってくれるような車椅子がいいなあという親心もありました。デザインも選んだポイントの一つですが、でも、それ以上に転倒防止レバーの使い勝手のよさで決めました。国産の車椅子も、もっとおしゃれで機能的になって欲しいと思います。

望は、車椅子にそのまま乗れませんから、車椅子に座位保持装置を乗せて使用します。バギーの時より、視線がずっと高くなってうれしそうです。レストランでは、テーブルの上のご馳走を見ることができるようになりました。街に出ても良いことがあります。バギーの時には、歩く人達の足元のほこりを吸って、街を通っていたようなものでした。バスや電車に乗っても、運転手さんや駅員さんの対応が全く違ってきます。最近では、バギーに対しても少しやさしくなってきましたが、「たたんで下さい」とか「ベビーカーは手伝えません」とか言われることがありました。乗っている人は同じなのにと、不思議に思います。でも、車椅子やバギーだけではなくて、ベビーカーだって、赤ちゃんを連れたお母さん達だって、結構大変なんですよと言いたくなります。子どもやお年寄りにもやさしい街になって欲しいです。

自家用車にも、昨年末から車椅子マークをつけました。でも、この車椅子で、望の大好きなバスや電車にたくさん乗って出かけたいと思っています。

2000年問題

心配していたコンピュータの2000年問題は、大きなトラブルもなく、穏やかな新年を迎えることができました。2000年問題のために我が家が準備したことは、飲み水を少し買い、カセットコンロのボンベと懐中電灯の電池を補充し、食事はおせちがあるからと、とりあえずのパンとレトルトのご飯を買いました。そして、冷蔵庫や冷凍庫の中の買いだめを例年よりも減らしました。31日には、お風呂の湯は溜めたままにしておき、保冷剤を冷凍しました。これでトイレの水には困らないし、捨てずに置いていた発砲スチロールの箱に保冷剤を入れれば、簡易冷蔵庫のできあがりというわけです。備えあれば憂いなし。「何事もなくて良かった。今年はキャンプやバーベキューに行こう」と思い、正月気分も抜けてきた頃、我が家の2000年問題が起こったのです。

冷凍庫の異変に最初に気づいたのは、夫でした。夜更かしをしていて、望が起きたのでアイスノンを換えてやろうとしたら、冷凍庫の中のアイスノンがあまり冷たくなかったのです。氷が溶けるほどではないけれど、冷凍庫のアイスノンが凍らない、どうもおかしいと思ったようです。翌日、私もチェックしました。冷凍庫の食パンも柔らかくなっています。魚や肉は凍っていますが、傷むのは時間の問題です。もう10年以上も使っているから寿命かなあと話し合いました。ところが、夕方、なんと冷蔵庫は復活したのです。でも、またいつ調子が悪くなるかわかりません。あわてて冷凍庫の肉や魚を食べ尽くしました。冷凍庫が空になってから、電機屋さんに来てもらいましたが、悪い所はないとのことでした。ただ、「話を聞いて悪いと予想できるところの部品を交換するとかなりの金額になりますから、修理するなら買い換えた方がいいでしょう」とのことでした。でも、望の車椅子を買ったところで財政危機。とりあえず、動いているので、様子を見ることにしました。今は、冷蔵庫に必要最低限のものしか入れずにいます。でも、結構それでやっていけるものです。

我が家の新年早々のトラブルは、これだけでは終わりませんでした。中旬頃から、私は頭痛が始まり、病院でもらった薬でなんとか治まったと思ったら、19日の夜からは望が熱を出しました。熱は一日で下がりましたが、病院に連れて行くと、炎症反応がでているとのことで、抗生剤が出て、しばらく安静にさせてくださいと言われました。週末まで保育所を休みました。2月4日にある「まねっこごっこシアター」(生活発表会)の予行練習は、お休みしてしまいました。

望がようやく元気になってきた頃、私に保健所からの郵便物が届きました。1月11日に保健所で受けた乳がん検診で異常が見つかったというのです。「えーっ」とは思いましたが、不安や恐怖感はありませんでした。「きっと間違いだ」という思いがどこかにあったのかもしれませんが、落ち着いていました。それよりも頭の中や心臓の方が危ないと思うんだけど、なんて考えていました。「学校Ⅲ」という映画をご存知ですか。自閉症の青年の母親に乳がんが見つかり、医師に説明を受けるシーン、自宅に帰って顔を洗って涙を押さえるシーンを思い出していました。あの映画を観た時、私は泣いたのです。うまく言えないけれど、母親の涙がわかるように思いました。怖くて涙が出たのじゃない、悔しいような情けないような、そんな涙に思えました。その時の私は、保健所からの通知を見ながら、今後のいろんなことを冷静に考えていました。保健所で、病院に行って検査をするようにと言われ、分厚い紹介状を渡されました。

病院に問い合わせると、乳がんの検査日は、月曜日と金曜日とのことでした。どちらも私が保育所に導尿に行く日です。夫に相談すると、会社を休んで保育所に導尿に行ってくれると言ってくれました。ちょうど、「まねっこごっこシアター」の2回目の予行練習の日でした。夫は、本番の日には仕事を休めないので、導尿を口実に予行練習を見せてもらいました。望がちゃんと(?)演技や演奏や歌をしているところを見ることができました。会社でいろいろとあったところだったので、気分転換になったのかもしれません。

私は、3年ほど前に乳がん検査を受けた病院に行き、検査を受けてきました。検査は、3種類でした。おっぱいのレントゲン(胸のレントゲンではありませんよ)、触診、超音波検査を受けました。結果は、「何もないけどなあ」でした。ホッとしました。

ほんとにバタバタの一月でした。なんだか今年が思いやられます。

ひとこと

望の就学通知が届きました。小学校入学が決まりました。予想以上にすんなりと通知が届いて、やはり、大阪は、統合保育や統合教育が進んでいるんだなあと実感しました。春からの便りをお楽しみに。

どう、カッコイイでしょう。

48号 見出しへ戻る 50号