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のんちゃん 便り

第60号 2001年1月

新年そして新世紀

本年が みなさんにとって

良い年となりますように。

明るい21世紀と

なりますように。

本年もどうぞよろしく

お願い申し上げます。

 のんちゃん便りが第60号となりました。5年という月日を綴ったことになります。望のずりばいを親しい人達に伝えたくてはじめた通信がここまで続いたことを一番驚いているのは、私自身です。続けることができたのは、読んでくださる皆様のおかげです。感謝の気持ちをこめて、心よりお礼申します。これからもよろしくお願い申し上げます。

 記念すべき第60号は、2001年新年号となりました。そして、21世紀の始まりです。世界中の人が、心豊かに幸せに暮らせる時代となることを祈っています。

今年は、望にとってどんな年になるのでしょうか。また、いろんなことにチャレンジして楽しんで、いきいきと暮らして欲しいと願っています。そして、皆さんがこれを読んで、幸せな気持ちになったり、元気になったりしてくださったらうれしく思います。

一方で、この通信は、望の記録であると共に、私の個人的な思いを発信する場所になってきています。今の社会は、たくさんの問題を抱えていて、私の心の中にも福祉の問題や教育の問題、医療・医学の問題、そして、法律の問題と気がかりなことが山積み状態です。時に疑問を投げかけ、時に怒り、時に弱音を吐いたりするかもしれません。そんな時は、どうぞ皆さんも一緒に考えてください。意見交換などできれば幸いです。

改めて、よろしくお願い申します。

電動車椅子その1

12月7日に、兵庫県立総合リハビリテーションセンター(以下、兵庫リハ)に行き、望は、電動車椅子に乗ってきました。夏休みに診察に行った時、チームを作って電動車椅子を作っていただくことが決まりました。秋の終わりに望用の電動車椅子が届いたと連絡がありましたが、それぞれの日程調整がつかず冬になってしまいました。

学校を早退させてもらい、望と私は、JRで兵庫リハに行きました。望の電動車椅子は、研究用として作られます。研究所の部屋にかわいい赤いチェックの電動車椅子がありました。この電動車椅子に、望の車椅子に乗せている座位保持椅子を取り付け、ジョイスティックを望の操作しやすい位置にセットしました。ジョイスティックは、望の右手の先が入るおわん型のものを準備してくださっていましたが、望は、カートで使い慣れている棒状のジョイスティックの方が使いやすかったようで、結局、電動車椅子についている標準のものを使用しました。

最初は、ジョイスティックの形に戸惑ったのかなかなか動きませんでしたが、標準のジョイスティックに変えると、おてんばぶりを発揮し始めました。予想以上に、望は方向をしっかりと理解して操作しようとしていて、私は驚きました。初めてですから、まだまだうまくはいきませんが、これは練習次第でうまく運転できそうです。しばらく兵庫リハに通って練習が必要です。

でも、この電動車椅子、望個人のものにはなりません。研究用です。福祉の制度で、大阪府に住む望は、兵庫県で電動車椅子を作ってもらうことはできないのです。この電動車椅子にうまく乗れるようになれば、大阪で同じようなものを作ってもらえると思います。大阪には、最初から乗りこなせるかどうかわからない望のような子どもの電動車椅子を作成してくれる施設がありません。カートの1号機をボランティアさんに作っていただいてから、4年以上が経っています。ようやくたどり着いたという感じです。道のりはまだ遠いですが、大きな一歩です。カートの2号機を「そんなものを作らなくても、専門家に電動車椅子を作ってもらえるだろう」と、ある大学の先生が指摘されたようですが、それは、環境に恵まれた一部の人だけの場合なのです。私たちは、カートを作ってくださったボランティアの方々のおかげでここまで来たと思っています。

望は、1時間近く電動車椅子を乗り回し、医師や療法士、エンジニアの方々を引き連れて(!)、上機嫌でした。帰ろうと研究所の部屋の近くまで行くと、急にグルグルと回りだし、部屋に入ろうとしませんでした。まだまだ乗りたかった様子です。今度の運動会は、電動車椅子で参加できるかな。

ひとこと

 クリスマス。ケーキを前に、『ろうそくつけて!電気消して!』と張り切っていた望でした。年末に鴨をいただいたので、カセットコンロをテーブルに出して鍋をしました。鍋が熱くなってきて、望は熱いものを食べる時にする仕草と同じに「ふーっ」とするので、「うん食べようね」と言うと、蛍光灯を指すのです。「えーっ、電気消すの?コンロの火を吹き消そうとしていたの?」と大笑いでした。

 12月中旬に私は、大型の児童施設で、そこで活動するボランティアさんたちの研修を担当させていただきました。また、新しい出会いがありました。ネットワークを広げていきたいと思っています。

秋から体調がすぐれなかった私は、12月下旬になってついにダウン。疲れがたまっていました。風邪でしたが、38度以上の熱が3日以上続き、なかなか布団から出ることができませんでした。冬休みの望は、近くの小規模作業所でお世話になりました。自宅に迎えに来てくださると、望はうれしそうに私に「バイバイ」をして出かけて行きました。遊んで、昼食を食べさせてもらい、ご機嫌で帰ってきました。おかげで私は安心して眠ることが出来ました。感謝です。我が家は、大掃除なしで新年を迎えます。

のんちゃん便り郵送の方、お年賀の時に届く予定が、遅くなりました。お詫び申します。

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