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のんちゃん 便り

第73号 2002年2月

スキーにチャレンジ

2月3日(日)にスキーに行きました。昨年までは、抱っこ用のウエストポーチを使用して望を抱っこして滑っていたのですが、今回は違うのです。望1人がスキー板に乗って滑ったのです。

昨年、ある方に「パルネット」というボランティアグループがあることを教えてもらいました。新潟県と兵庫県のスキー場で障害者のスキーをサポートしているボランティアグループです。望の体重は11キロになり、抱っこで滑るのはもう限界です。整形外科の先生に危険だと注意もされました。何とか安全に望と一緒にスキーを楽しめないものかと昨年から考えていた私達は、早速パルネットの助けを借りることにしました。

望専用の椅子がスキーに取り付けられれば、後は簡単と言われ、そんな簡単にはいかないだろうと思いつつ、スキー場に向かいました。スキー場までの道は、幸い雪がなくスムーズでした。スキー場の駐車場に着き、場違いな感じの車椅子で、これまた場違いな感じで若いスノーボーダー達に混じりスキー場までのバスに乗り込みました。バスを降りるとパルネットのNさんが待っていてくださいました。早速、ゲレンデ麓の休憩所で「バイスキー」という名のスキーの椅子に望の椅子が入るか試しました。なんとか入りました。これなら後はベルトであちこち縛って固定すれば大丈夫と言われ、とりあえず滑る方法があったとホッとしました。「バイスキー」というのは、2本のスキー板の上にエアクッションのついた椅子が取り付けられており、2本のスキー板の左右には短いスキー板がついていて、転倒しないようにできているものです。この椅子に望の座位保持椅子をはめ込んで望を乗せて滑ることになったのです。

Nさんが「椅子を取り付けたら、後はバンバン滑りますが、リフトの1日券を買いますか」と言われました。「バンバン?」と思いながら、まあ回数券は面倒なので1日券にしておくかと思い、1日券を購入しました。ゲレンデに出て、望を座位保持椅子ごとバイスキーの椅子に固定しました。この時まで、私は、Nさんの「バンバン」を理解していませんでした。とりあえず望がスキーに乗って2,3回滑れたらいいかくらいに思って出かけて行ったのですから。バイスキーの椅子には長いロープが2本ついていて、後ろで滑る人がそのロープを操ってバイスキーをターンさせながら滑ることができます。

夫と私もスキーを履いて、4人でリフト乗り場に行きました。どうやってリフトに乗るのだろうと思ったら、バイスキーの椅子を少し持ち上げ、椅子とスキー板の間にリフトの座席に入れて、普通にスキーを付けた人がリフトに座るのと同じように乗ることができます。私は、だんだんとNさんのおっしゃった「バンバン」がわかってきました。リフトに乗って、そして、滑ることができれば、後は普通に滑るのとなんら変わりはないわけです。

2本のリフトを乗り継ぎ、4人で滑り出しました。夫が「望はスピードが速くても大丈夫です」なんて言いました。私は、望とNさんの後をついて滑りましたが、望は怖がっているようすはありませんでした。望は、怖かったら「アーッ」と声を上げて拒否するはずですから大丈夫そうです。リフト乗り場まで滑って、「楽しかった?もう一回行く?」と聞くと「もういっかい」という返事です。細かな雪が降っていましたので、リフトに乗るのは嫌そうでしたが、滑るのは楽しそうでした。リフト乗り場に着くたびに『はやくはやく、いこう』とせかしていました。何度も何度も滑りました。昼食後は、ゲレンデの一番上まで行って滑りました。私達も久しぶりに「滑った!」という感じでした。

バイスキーは、アメリカ製で高価なものです。また、操作も大変難しいです。パルネットのボランティア研修の受講資格は、スキーの技術が2級以上とのことでしたが、1回研修を受けたくらいでは、バイスキーの操作はできそうにありませんし、体力的にもちょっと無理とあきらめました。パルネットの力を借りなければ滑ることはできませんが、親が大きな労力を使うことなく安全に、家族で一緒に楽しく滑ることができ満足でした。もちろんおてんばの望は大満足でした。

年末年始のようす

11月中旬からは体調もよくなり、インフルエンザの予防接種も無事に済ませ、12月を元気に過ごしていた望でしたが、終業式を前に風邪をひいて学校を休んでしまいました。今回は回復が早く、年末には白浜温泉へ行きました。忙しかった1年の最後をゆっくり過ごしたいと夫が言い出し、主婦は忙しい年末に何を言い出すのと私は思いながらも、一泊の家族旅行をしてきました。

観光地めぐりはしないで、望のために白浜アドベンチャーワールドにだけ行きました。サファリに、草食動物のエリアを散歩するコースがあり、天気も良かったので、電動車椅子でゆっくりと回りました。動物を間近で見ることができました。でも、動物が怖い望には楽しかったのかどうか、餌場では、顔を引きつらせて全速力で通過していました。イルカやオルカのショウも見ました。興味深げにじっと見ていました。それから後、テレビでイルカや鯨が出てくると、私に『ホラ、イルカだよ』とでも言うように教えてくれるようになりました。

また、年末には嬉しい成長もありました。毎晩、お風呂で望と一緒に「いち、に、さん…」と数えていたのですが、いきなり望が1人で数え始めました。「ん、ん、あ、ん、あ、ん、ん、あ、ん、ン!」発音ははっきりしませんが、3、5、8で口を大きく開けました。間違いなく数えています。今は、望は毎晩、お風呂から上がる前に、1人で10まで数えています。

お正月は、これまたのんびりでした。寒さが厳しかったこともあり、近くの神社に初詣に行っただけでした。望は外に出たくて怒っていました。ようやく新学期が始まり、張り切って登校して行きました。寒い日が続いて、鼻が出だし、20日の夜には久しぶりに38.5度以上の熱を出しました。新学期早々に学校を休んでしまいました。望の熱が下がったとたん、私は腰を痛めてしまいました。それでもスキーまでには、望も私もなんとか治り、またまた出かけていった我が家でした。

ひとこと

1月から2月にかけて、さまざまな場所で多くの人と出会う機会があり、いろんなことを感じたり考えたりしました。人と出会いつながっていくことの大切さを改めて感じます。

ザンネン。顔が隠れてしまっています。

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